樹木葬とは一体どんなもの?

葬儀・お墓

近年、自分の最期を考える人が増え、終活についての特集が組まれるようになりました。その中で『樹木葬(じゅもくそう)』という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。

具体的に樹木葬の費用や仕組みなどについてご紹介します。

・樹木葬とは

*樹木がシンボルのお墓

一般的にお墓というと墓石をイメージする方が多いと思いますが、墓石ではなく樹木をシンボルとするお墓に埋葬することを『樹木葬』といいます。

ハナミズキや桜、紅葉などシンボルツリーの種類や埋葬スタイルは様々です。

*永代供養

子孫の継承を必要としない個人の供養なので、おひとり様や夫婦で選ばれる方がほとんどです。

*費用が掛からない

墓石の平均購入価格は160.1万円(第34回(2021)全国統一 全優石 お墓購入者アンケート調査より)に対して樹木葬の平均相場は70万ほどです。ご遺骨を埋葬できる小さなスペースで良いため、費用を安く抑えることができます。

・公営の樹木葬

日本では2006年に神奈川県横浜市の霊園で初めて公営の樹木型墓地がオープンしました。開設以来、応募が殺到したため8年後の2013年には募集が終了してしまいました。このように都市部のような人口が多いわりに土地が狭く墓地不足が懸念されている場所では、公営の樹木葬が注目を集めています。

・樹木葬の種類

*都市・公園型

都市型や公園型の樹木葬では①『一人につき1本の樹木』もしくは、②『複数の遺骨を1本の樹木が植えられた同じ区画』に埋葬します。

都会では敷地の範囲の問題から一人1本の樹木を割り当てられる霊園や墓地が少ないそうです。

*ガーデニング型

納骨堂や霊園に庭園が併設されており、植物に囲まれた場所に埋葬する方法です。庭園は西洋庭園だけでなく、日本庭園を併設している霊園もあります。

また、『ガーデニング霊園』というものもありますが、ガーデニング型樹木葬と言葉はよく似ていますが、墓石を置く埋葬方法であり樹木葬とは異なるため注意してください。

*里山型

山林など許可を得た広大な土地に埋葬する方法です。より自然に近い埋葬方法といえるでしょう。樹木葬の根本的な意義である『自然に還る』の真髄であると同時に自然保護としても注目されています。

里山であるがゆえに都市部からはお参りに行きにくい点が難点です。 

【申し込みから埋葬まで】

終活の準備として気に入った場所があれば、生前から自身のお墓として契約可能です。どのようにして埋葬まで行うのかをご紹介します。

①情報収集

立地条件や希望の価格などがあればパンフレットを基に選びやすくなります。

②見学

現地見学も可能です。霊園の雰囲気や自宅からのアクセスの良さ、周辺の環境など実際に現地に赴き確認します。

③契約

樹木葬を行う場所が決まったら契約の申し込みを行い、納金します。見学当日に無理に決める必要はありません。後日でも契約は可能なので、じっくり考えて決めましょう。

④使用許可の交付

費用の入金が確認されると使用許可証が発行されます。これにより正式に樹木葬の使用者として認められたことになります。

※許可を得た場所でなければ埋葬できない

好きな場所でどこでも埋葬できるわけではなく、樹木葬を行うためには管理された敷地でなければ埋葬できません。

一般的な墓石での埋葬と同じく、法的に認められた場所でしか埋葬が認められていないのです。『里山型』でもその土地のお寺や霊園が許可を得ている場所なので山林でも埋葬可能ですが、勝手に近隣の山林に埋葬することは法的違反になってしまいます。さらに埋葬するには『埋葬許可証』が欠かせません。

・埋葬方法について

その霊園の樹木葬ごとに埋葬方法は異なりますので、事前に説明を詳しく受けてから検討しましょう。

①合祀埋葬(ごうしまいそう)

骨壺ではなく、遺骨を取り出して埋葬します。家族以外の他の人の遺骨と同じ場所で埋葬されるため、費用は掛からず樹木葬のなかでも比較的安価です。

②個別埋葬

個人で専用の区画を購入して埋葬してもらう方法です。個々のスペースなので遺骨の状態は骨壷に入ったままでも、骨壷から取り出したり粉骨したりどんな状態でも埋葬してもらえます。ただし場合によっては埋葬してから一定期間経過した後に合祀埋葬に改葬することがあるため留意しておきましょう。

③家族埋葬

個別埋葬と遺骨の取り扱い方は似ていますが、家族埋葬は一家の専用の区画を購入して埋葬する方法です。個別埋葬でも注意点として記載しましたが、一定期間を経て合祀埋葬に改葬されてしまう可能性もあります。

・樹木葬の注意点

*個人でガーデニングはできない

墓所の管理人が基本的には手入れをするため、草花を植え替えるなど自分で好きなように土いじりすることはできません。

*景観が変わる可能性

樹木がどのように成長するのか誰にも分かりません。気候の変化などの影響で想像していた通りに育たず、枯れてしまったりする可能性もあります。

*お参りが漠然としてしまう

一般的な墓石でのお墓参りは香花やお線香をあげて手を合わせることで故人に語りかけたりすることができますが、樹木葬の場合はそれらが不要になるため参拝した実感が湧きにくいかもしれません。

・まとめ

樹木葬を行うには親族の理解が必要です。終活という言葉が認知されるのと同時にさまざまな埋葬方法も知られるようになりましたが、あくまでも墓石での埋葬が一般的であり、世間的に樹木葬についての認知はまだ低いのが現状です。

本人が樹木葬を希望しても親族から理解を得られず反対されてしまうこともあるので、樹木葬についてきちんと説明できるようにまずは自身が樹木葬について知識を深められると良いかと思います。

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